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2024/08/02

僕青への揺るぎない期待感

工藤唯愛

非常に燻っているという印象しかないアイドルグループは、多々あることだろう。メジャーに限ってみても例外ではなく、とりわけ最初から厳しい立場に立たされる新鋭にとってみれば、そのプレッシャーは並大抵ではないに違いない。

国内トップアイドルを誇示する乃木坂46の、いわゆる公式ライバルの名を冠された「僕が見たかった青空」、通称「僕青」が苦戦を強いられている。
CD売上げが伸びない、ビジュアルが弱い、グループ名が覚えにくい等々、様々な理由が挙げられているが…ひと言でいうと、キャラ立ちが見られないということに尽きると思われる。ビジュアル面も不足気味なのは確かだが、それはキャラクターの良さでカバー出来るはず。
やはり、アクの強い特徴的なキャラの発信が致命的に足りず、まるで印象に残らないのだ。「乃木坂工事中」でのキャラアピールでも知っての通り、僕青にも冠番組は存在する。ただ、そこでは明らかに有効なアピールが出来ていないのが、すぐに分かる。

先ず、MCを務めるチョコプラがつまらない。芸人のことはよく知らないが、例えばバナナマンなどは乃木坂メンバーのキャラの面白さを上手く引き出せていると思う。しかし、チョコプラはといえば、自分達しか知らないようなネタを振って、それ以外はただ台本に沿った回しをするだけ。メンバーをイジッたり、ツッコんだりする絡みは異常に少ないのだ。そして、番組内での企画も的外れが多く、仕様もないお笑いや変顔まで強要する始末で、正直いって呆れるばかりだ。
アイドル番組の胆は、いかにメンバーのキャラクターを引き出し明確化し、憶えてもらえるかにかかっている。それには、個々のメンバーの特徴や関係性を掘り下げる企画や、素の一面が見られる各種ドッキリ企画などが極めて有効である。少なくとも僕の知る限り、エッジの効いたドッキリ企画は、僕青の番組で見たことがなかった。

このように効果的な支援に恵まれず低迷する僕青であるが、注目するべき良い点も勿論ある。
あくまで個人的な嗜好に他ならないが、いわゆる「青春」を象徴する楽曲の数々に爽やかな印象があり、とても好みである。齢のせいなのか、最近の僕にとってのパワーワードになりつつある。郷愁に浸るには打ってつけなのだ。
デビュー曲の「青空について考える」は酷評も多かったが、意外と好きであった。他にも「制服のパラシュート」なども良かったが、「スペアのない恋」は最も心に響いた一曲である。素直なメロディラインと学生時代の雰囲気が少しだけ、かつてのさくら学院を思い出させるのかも知れない。

メンバー個々に関しては、当初から気に入っていた安納蒼衣が妹キャラでイメージ通りだったし、リーダーの塩釜菜那のドッキリ企画もグループ愛を感じられて良かった。しかし最も注目度を増したのは、最年少の工藤唯愛だった。
日ハムの始球式で、ピョンッと跳ねて投げる姿が可愛かったのがきっかけか。やや地味めだが、喋り方のテンポや丁寧さに真面目さを汲み取れて好印象に。清楚な雰囲気にも惹かれるものがあったようだ。

かつて起きた逆転現象を再現するには、到底役者不足と呼ばれている僕青。初期の乃木坂46では、生駒里奈がセンターで存在感を放ち、白石麻衣生田絵梨花といった突出したビジュアルメンが脇を固めていた。AKBを引き摺り下ろすのに、磐石の布陣だったのだ。
それに比べると、どうにも心もとない僕青の面々。現段階で、乃木坂の足元にも及ばないのは確かであろう。ただ、小粒でも良い所は沢山あるし、もっとキャラを確立させれば良い味を出してくれそうな予感もある。
青春ソングを引っさげた爽やかな後味のグループとして、個性の魅力をプラスした刷新が叶えば、十二分にワンチャンある期待をかけ続けたい。
まだまだ未知数の僕青に注目しつつ、温かなエールを送りたいと思っている。

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