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2024/08/12

心に刻んだ音楽の記憶

神野友亜

80年代のシティポップが今、世界的に注目を集め高い評価を受けているようだ。意外な感じもするが、個人的にはあの時代の音楽は完成度が高く、極めて洗練されていたように思えてならない。
前にも言ったかも知れないが、僕が初めて音楽に触れたのが杉山清貴だ。都会的で洗練された大人の音楽に憧れを抱き、多感な思春期にオメガトライブを聴いて育ったわけである。
そうして90年代に入った頃、シティポップの他にも魅力的な音楽が次々に生まれていった。その中で、異彩を放ったのがZARDだ。それまで女性ボーカルに馴染みの薄かった僕だが、坂井泉水の声質には少なからず心に響くものがあった。
そこまでZARDを好んでいたわけではないが、淡い青春時代を率直に描いた楽曲に歌詞、当時としても突出した秀でたビジュアルなど、後のアイドルソングに影響を及ぼしたとさえ考えている。

最近の習慣になっているのが、YouTubeのショート動画を観ること。目的もなく無作為に見ていくのが好きなのだが時折、思いがけず、はっとするような動画を見かけることがあったりする。
SARD UNDERGROUNDという名の女性バンド。ZARDの、トリビュートバンドというのだろうか。後世に、ZARDの楽曲を伝えるための音楽活動といった感じなのかも知れない。
オリジナルに程近い雰囲気を上手く出しているし、何といってもボーカルの声質が良い。そしてこのボーカリストがまた、飛び抜けた美貌なのである。何やら、昔のZARDに出逢った時のときめきが蘇るような気がしたのだ。
この神野友亜という娘は、キャラ的には若干クールな印象があるのだが、どこか温かみのある坂井泉水の歌声に通じるものを感じる。見た目の面では、極めて正統派の清楚なビジュアルが光り、個人的に非常に好みのタイプといって差し支えない。かつての三好佑季を彷彿とさせ、高鳴りを禁じ得ないが、現在の三好は似合わない茶髪にしてしまい見る影もないのが残念である。
なお、綺麗なお姉さん風の杉岡泉美は、ZARDのビジュアル面へのリスペクトが強いらしく、アイドル的にではないにせよ、メンバーらの美意識の向上により良い影響を与えているような気がするのは僕だけだろうか。

本家である坂井泉水に比べると、神野友亜は遠く及ばないと感じている。声量、表現力、抑揚の付け方など、まだまだ足りない部分は多いものの、SARD UNDERGROUNDには期待をもって応援していきたいと思わせるものがある。
坂井泉水という才能のある美しい人が亡くなってしまったのを今更ながらに思い出し、今なお喪失感に苛まれてしまう。しかしながら、こうした若く瑞々しいまでの魅力溢れる女性らが、素晴らしい楽曲を受け継いでくれることは非常に価値のあることだと反芻している。
これまでもあえなく消えていったアーティスト、アイドルなど数え切れないが、心の何処かに残し思い返すことしか出来なくても、音楽を通して記憶に刻み続ける心がけは大切なのだと改めて知らされたのだ。

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2024/08/02

僕青への揺るぎない期待感

工藤唯愛

非常に燻っているという印象しかないアイドルグループは、多々あることだろう。メジャーに限ってみても例外ではなく、とりわけ最初から厳しい立場に立たされる新鋭にとってみれば、そのプレッシャーは並大抵ではないに違いない。

国内トップアイドルを誇示する乃木坂46の、いわゆる公式ライバルの名を冠された「僕が見たかった青空」、通称「僕青」が苦戦を強いられている。
CD売上げが伸びない、ビジュアルが弱い、グループ名が覚えにくい等々、様々な理由が挙げられているが…ひと言でいうと、キャラ立ちが見られないということに尽きると思われる。ビジュアル面も不足気味なのは確かだが、それはキャラクターの良さでカバー出来るはず。
やはり、アクの強い特徴的なキャラの発信が致命的に足りず、まるで印象に残らないのだ。「乃木坂工事中」でのキャラアピールでも知っての通り、僕青にも冠番組は存在する。ただ、そこでは明らかに有効なアピールが出来ていないのが、すぐに分かる。

先ず、MCを務めるチョコプラがつまらない。芸人のことはよく知らないが、例えばバナナマンなどは乃木坂メンバーのキャラの面白さを上手く引き出せていると思う。しかし、チョコプラはといえば、自分達しか知らないようなネタを振って、それ以外はただ台本に沿った回しをするだけ。メンバーをイジッたり、ツッコんだりする絡みは異常に少ないのだ。そして、番組内での企画も的外れが多く、仕様もないお笑いや変顔まで強要する始末で、正直いって呆れるばかりだ。
アイドル番組の胆は、いかにメンバーのキャラクターを引き出し明確化し、憶えてもらえるかにかかっている。それには、個々のメンバーの特徴や関係性を掘り下げる企画や、素の一面が見られる各種ドッキリ企画などが極めて有効である。少なくとも僕の知る限り、エッジの効いたドッキリ企画は、僕青の番組で見たことがなかった。

このように効果的な支援に恵まれず低迷する僕青であるが、注目するべき良い点も勿論ある。
あくまで個人的な嗜好に他ならないが、いわゆる「青春」を象徴する楽曲の数々に爽やかな印象があり、とても好みである。齢のせいなのか、最近の僕にとってのパワーワードになりつつある。郷愁に浸るには打ってつけなのだ。
デビュー曲の「青空について考える」は酷評も多かったが、意外と好きであった。他にも「制服のパラシュート」なども良かったが、「スペアのない恋」は最も心に響いた一曲である。素直なメロディラインと学生時代の雰囲気が少しだけ、かつてのさくら学院を思い出させるのかも知れない。

メンバー個々に関しては、当初から気に入っていた安納蒼衣が妹キャラでイメージ通りだったし、リーダーの塩釜菜那のドッキリ企画もグループ愛を感じられて良かった。しかし最も注目度を増したのは、最年少の工藤唯愛だった。
日ハムの始球式で、ピョンッと跳ねて投げる姿が可愛かったのがきっかけか。やや地味めだが、喋り方のテンポや丁寧さに真面目さを汲み取れて好印象に。清楚な雰囲気にも惹かれるものがあったようだ。

かつて起きた逆転現象を再現するには、到底役者不足と呼ばれている僕青。初期の乃木坂46では、生駒里奈がセンターで存在感を放ち、白石麻衣生田絵梨花といった突出したビジュアルメンが脇を固めていた。AKBを引き摺り下ろすのに、磐石の布陣だったのだ。
それに比べると、どうにも心もとない僕青の面々。現段階で、乃木坂の足元にも及ばないのは確かであろう。ただ、小粒でも良い所は沢山あるし、もっとキャラを確立させれば良い味を出してくれそうな予感もある。
青春ソングを引っさげた爽やかな後味のグループとして、個性の魅力をプラスした刷新が叶えば、十二分にワンチャンある期待をかけ続けたい。
まだまだ未知数の僕青に注目しつつ、温かなエールを送りたいと思っている。

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