« グループ離脱後の明暗 | トップページ | 美しい少女を探求した生涯 »

2021/02/11

最終通告

とある日に、通達を受け取った。居住している住居を明け渡せという警告である。かなり、一方的な内容だったのは否めない。
別に、家賃を滞納したり何か悪さをした覚えはない。公営住宅なのだが、世帯主である親が亡くなってから独りで住んでいた。しかしながら、僕には居住する資格がないと断じられていたのだ。子供には権利が継承されない仕組みらしい。
数年前から知っていて居残り続けてしまった僕も悪いのだが…どうにも、何物も受け付けないかの強引さを感じてしまった。実際に、役所に何度か相談に行ったこともあるが、全くとりつくしまもなかった。早く出ていってくれ、この一点張りである。

普通、こうした低所得者層の公営住宅は家族世帯で入居し、当然のこと親が死ねば子が残る。始めから分かっていることなのに、何ら知らせることもなく出ていけと、法的措置に出るぞと脅しにかかる。これが役人のやることだろうか?
もう何十年も住んできたが、大昔の入居当初は権利が継承されるとしていたようだ。ただ、2000年代に入ってからの国の通達により、自治体によっては僕のところのように仕組みを変更したらしいのだ。そして、その通知は居住している者には一切届いていない。
住民の理解を得ることなく勝手に決めて、知らせもしないとは酷いものだ。お役所の勝手気ままな振る舞いに、憤るというよりは甚だ呆れてしまった。

明け渡し期限まではまだ時間があるが、非正規で大した貯蓄もない。転居が簡単にいかないのはいうまでもない話で、非常に切羽詰まっている。急ぎ、引越し費用を捻出しなければならない。さもなくば、もれなくホームレスだ。
父親が大工で、大きくて頑丈な家具をいくつも作っては使っていた。これらは、ほとんど室内から出すことも出来ず、家の中で解体するより他にない。業者に依頼すれば、恐らく莫大な費用がかかってしまう。自分でノコギリでやるしかないのだ。
それでも手に負えないものは業者に頼むしかなく、この不用品処理費用が加わって、通常の引越し費用よりも遥かに嵩んでしまうのだ。
非常にまずい状況であり、相当に焦っている。しばらくは、当ブログの更新は滞ることを先に断っておきたい。

突如、投げかけられた日常生活の危機。僕は、いつ死んでもいいと幾度も思うことがあったが、いざ目前に死がちらつき始めると、人間とは弱いものでたちどころに竦み上がってしまう。
美しい少女を追い続けた愚かなる人生に、最終通告の引導を渡された気分だ。ほんの一時の癒しを求めた生き様に、無様な最期が着実に忍び寄ってきているのを感じ得る。
転げ落ちるような切迫感に苛まれながらも、あの愛すべき美少女のイメージを物思うことが叶うだろうか。最終的な終わりを迎えるその時に、確かに刻まれた彼の少女の輪郭を思い描く。そうした最期こそ、我が生涯を賭けて求めたものなのだから。

|

« グループ離脱後の明暗 | トップページ | 美しい少女を探求した生涯 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« グループ離脱後の明暗 | トップページ | 美しい少女を探求した生涯 »