喪失感に満ちた終焉
BABYMETALのYUIMETALこと水野由結の脱退が、正式に発表された。今後は、残ったSU-METAL(中元すず香)とMOAMETAL(菊地最愛)の二人で新体制として活動を継続していくとのこと。
ベビメタがどうあれ、僕の中では完全に終わったという思いに満たされている。さくら学院時代から見守ってきたのは、ゆいもあが存在したからであり、殊に水野由結という美少女に惹かれ続けてきたからに他ならない。
圧倒的なボーカルのSUを中心に、「カワイイ」を象徴するゆいもあが脇を固めダンスで魅せる。この絶妙なトライアングルが崩れ、片翼を失ったBABYMETALは確実に失速する。断言してもいい。もう終わりなのである。
しかし、水野由結が姿を消してから一年後とは、あまりにも引っ張り過ぎだ。公式、本人共に体調不良という話を出しているが、それが主な原因でないのは、これまでの経緯を振り返れば火を見るよりも明らか。
今春のワールドツアーにおいて、欠席に関する告知がなかったこと。早くから(恐らく年明けすぐ)ダークサイド演出に切り替え、YUIMETALなしの体制を組んでいたこと。アナウンスを全くせず、株主総会で社長が渋々体調不良だと明かしたこと。
これらの意味するところは、もっと根の深い何らかの大きなトラブルを抱えていて、公に出来ない複雑な事情があったということだ。今となっては知る由もないが、恐らくは水野由結はアミューズを離れるのではないだろうか。
本人の言葉の中に、「夢に向かって進みたい」との文言があるが、これが例えば女優など他の芸能活動を続けるという意味であったとしても、事務所移籍を含めた環境の一新が前提になることと思う。無論、引退の可能性もあり、そうなれば今後二度と姿も見られなくなり最悪の展開となってしまうのはいうまでもない。
このタイミングで新曲のMVも公開されているが、もはやどうでもいい気分でチェックもしていない。水野由結を失ったことが致命傷であり、そのことにも気付かず、未だ延命を図ろうとする運営陣が哀れにすら思えてしまう。
単純に動員が三分の二になるという話ではない。三人のベビメタが好きで、YUIMETALの復帰を心待ちにしていたファンも相当数いるはず。そうしたファンまでもが去れば、最悪動員が半減する可能性さえあるのだ。もはや幕張どころか、Zeppレベルまで落ちてしまうかも知れない。
二年前の東京ドームをもって終わりにしておくべきだったと思う。そうすれば、絶頂期に解散した伝説的なグループとして歴史に刻まれたことだろう。こうして深手を負いながら悪あがきすることで、徐々に落ち目となって消えていく、最も悪い終わり方を選択してしまったようである。本当に残念でならない。
これから先は僕自身、熱量を大幅に削られたのもあり、BABYMETALに言及する機会は激減すると思われる。何となく惰性で新曲やライブをチェックすることはあっても、かなり冷めた目で客観視する感じになるのは間違いない。
あくまで、好きだった水野由結がかつて在籍し、数々の輝かしい偉業を果たしてきたグループの末路を見届けるという、微かな義務感のような感情を頼りに見ていくだけといったところ。たとえ、それが悲惨な最期であったとしても…。
僕の30年以上に渡るアイドル遍歴においても、水野由結という存在が特別であったことは認めたい。
まだ中学生だった時分、デビュー当時の西村知美に胸を打たれた遥か遠い過去の記憶。そこから始まったアイドルの奥深い迷宮で彷徨った末に見つけ出した面影、それは水野由結という一人の美少女、その美しい輪郭に回帰したかの印象を、ずっと覚えていた。
今、底知れぬ喪失感と、狂い出しそうな虚しさと戦っている。胸が張り裂けそうなこの思いは、自分の中に生きていた大切な何かが永遠に失われる瞬間に呼び起こされる、魂そのものの慟哭である。そう、それは全ての終焉を暗示しているのだ。
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