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2018/10/12

混迷を深める地下界隈

櫻井佑音

メジャーシーンにおける「アイドル戦国時代」は終わりを迎えた。AKBの時代は去り、坂道グループが取って代わり、老舗のハロプロはOGのスキャンダルにより衰退へと向かっている。
競争がなくなり活気が衰えていく現状は寂しい限りだが、ならば地下はどうだろうか。愛媛のロコドルが自殺を図り裁判沙汰になる等、負のイメージが蔓延しているようだが…よりディープなジュニア層に関しては、今なお局地的に活気付いているようにも見える。
強いていえば、競争というより自由な自己表現を重視したかの猥雑さ。自信たっぷりにパフォーマンスの高さを主張する子もいれば、あくまでアイドルごっこの域を出ないお気楽な自由奔放さを楽しむ子もいる。
これが良いのか悪いのか分からないが、少なくとも不細工な勘違い地下アイドルが少なくなったのは唯一の救いだろうか。とりあえず見た目は悪くない、その他はピンキリという界隈において対照的な上述の子らを挙げてみよう。

ネットでも一時期取り上げられている小学生アイドルが、意外と凄いらしい。まだ四年生の櫻井佑音という子、見た目的にもかなり可愛らしいわけだが、そのステージには正直びっくり。総合的に、非常にレベルが高いのだ。
この子、一体何者だ!? MCは落ち着いているし客を盛り上げようとする意識もあり、ダンスはまとまっていて歌も声量があって実に上手い。明らかにメジャーレベルなんだが、なぜに地下で燻っているのか?
様々な種類の楽曲を卒なく歌いこなす技術があり、将来性が極めて有望である。衰退気味のハロプロは、是非ともスカウトすべき。
以前、地下の有望株であった岡村美波を研修生として引き抜いたが、あえなく肥満劣化してしまっている。この教訓から、ビジュアル・スキル両面での振り分け可能な櫻井佑音を、どうしても採るべきだろう。

一方で、あからさまなスキル不足を恥じるでもなく、あくまでアイドルである自分に酔い楽しむことに徹底している子もいる。
中学生っぽいスタイルが印象的な星乃みれい。一応、まだ11歳だが、先の櫻井佑音とは比べ物にならないくらいのお粗末なパフォーマンスレベルでしかない。
きちんとしたボイスレッスンは受けてないのだろうが、なにしろ声が出ていなくて音痴以前に歌になっていない。ダンスについても体幹が弱いのか軸がブレブレで、まるで踊れていない。しかも、泣きそうな顔して歌うものだから危なっかしいなんてものじゃない。
ベビメタが好きなのか、よく歌っているように見受けられるが、評価出来るのはコスプレの品質だけというのは何とも悲しいばかり。
どう考えてもアイドル向きでないし諦めるべきだが、何かこの平凡な芋臭い子が懸命にやっているのが、妙にそそられるというか…。正直、こういう凡庸でちょっと可愛い子、嫌いじゃない。この勘違いしたまま感も悪くない。あくまで刹那的な魅力というわけだ。
星乃みれい

今回紹介した二人の子は共に、東京アイドル劇場というアイドル専用のステージで定期公演しているらしい。今どきソロの子も意外と多い模様で、チケットも安いので機会があれば久し振りの現場復帰には良いのかも知れない。

戦国時代が終わり、平穏が訪れたアイドル界隈。それは同時に怠惰な流れに身を任せた、偽者のアイドルが闊歩する時代の到来を意味している。
どこまでも可愛く、高次元なパフォーマンスを追い求め、ファンサービスに事欠かない高い意識をもったアイドルを切望する。混迷の度合いを増す地下から発せられる奇跡的な契機を、ただ闇雲に期待しているかのようである。

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