少女らが回顧する場所
BABYMETALの10月日本公演、そのファンクラブ先行受付が一ヶ月に渡り引き延ばされていた。このほど、ようやく開始されたようだが、これに伴いYUIMETAL(水野由結)の出演可否が発表されている。
「出演は未定」更に、体調不良による休業という事実を今になって明かしている。全ての対応が後手であり、なお且つ曖昧で不透明。ファンに対し誠意の欠片も感じられず、アミューズという大手でありながら、相変わらずの不始末が目に余る。
かなり高額のチケット設定を考えれば、演者の出演など明確にするのが当たり前だ。運営側の驕り高ぶりは、相当に酷いものである。
いずれにしても、YUIMETALが出演する可能性はゼロに等しいだろう。これだけ長い療養を経て、あの激しいダンスに復帰出来るはずもなく、恐らくは脱退が水面下で確定しているものと思われる。チケット販売に影響が出るため、未定としているに過ぎない。
来春、MOAMETAL(菊地最愛)の契約が切れると噂されているが、それと同時にSU-METAL(中元すず香)のソロ移行、つまりBABYMETALの解体を模索していると考える方が自然だ。つまり、BABYMETALは解散する。
残念な気もするが、今のような中途半端な状態が続くよりも遥かにマシだろう。もっと伝説を築き上げたグループに相応しい最期があったはずだが、運営が目測を誤ったのが全ての元凶だと思う。せめて、ゆいもあ(水野由結、菊地最愛)の将来には責任を持って頂きたい。
さて、BABYMETALへの興味関心が着実に薄れつつある今、原点回帰、要はさくら学院に注視するべきだろうと考える。
小中学生のアイドルグループというだけで、「お遊戯」だと揶揄する輩もいるかも知れない。しかしその実、例えようもないほど真っ直ぐに、信じられないほど真剣に、そして真摯なまでの姿勢でアイドルに向き合っている子らが存在することを、是非とも知る必要がある。
今春の2017年度さくら学院卒業公演、その舞台裏ドキュメントのフルバージョンを最近になって、ようやく観る機会に恵まれた。
さくら学院は品行方正、且つ正統派のアイドル路線を歩んできたわけだが…決して小中学生だからといって甘やかすこともなく、手を抜くこともないプロとしての心構えが、この年代から叩き込まれていくのを実感出来る内容であった。
どこぞの研究生などより、さくら学院生の方がどれだけ本格的か分からない。それほどまでの、深い感銘を受けた次第だ。
セットリストに対する思い入れ、なかなか曲を削れず涙する姿、曲ごとのテーマを手書きし歌詞や振り付けの解釈まで真剣に話し合う面々…。確かにさくらの曲は良曲揃いだが、これほどメンバーらが愛し、思いを込めていたとは思いもしなかった。
個別に印象深かったのは、お笑い担当ともいえる岡崎百々子が厳しく下級生を叱ったシーン。普段のイメージから想像も出来ない剣幕で、泣きじゃくりながらも厳しい一面を見せたのには驚きだった。卒業ライブへの並々ならぬ強い意志が感じられた。
対照的に同じ中三の岡田愛は、他メンがセトリを削らずやり切る決意を見せる中、妥協するかの弱気な発言を漏らすなど、これまた意外な一面を見たような気がした。無双していた幼少期のイメージがあっただけに、妙に可愛げある感じに映ったのも事実である。
その他では、前に記事にも書いたピアノ美少女を地で行く、推しの吉田爽葉香か。(参照:少女期の素敵さ)
なかなかの腕前のようで見目麗しいことこの上ないが、レッスン休憩中の顔がやけに老けて見えて、おばあちゃんぽかったのはご愛嬌。
ひとつ余談として、さくら学院伝統の背中を叩く気合い入れは健在のようである。元々は、初代生徒会長である武藤彩未が考案したものだが、本家のそれに比べ現役生の叩き方は随分と弱い。彩未ちゃんはもの凄い音を響かせ、痛みでのたうつほどの迫力があったのだ。
やはり、初代の頃の凄まじい面子(彩未、すぅ、ゆいもあ、みよまつ)が鎮座した時代には、まだまだ敵わないようであった。
多感な少女期に正直に真正面からぶつかり合い、友情を育み連帯感を分かち合う大切さ。
自己表現の最たるものであるアイドル活動において、メンバーの心をひとつにして届けようとする感謝という名の贈り物。まさしく、アイドルとファンの間にあるべき最良のコミュニケーションである。
少女達が磨き上げたパフォーマンスに魅せられると共に、胸に熱く込み上げる何かを感じ得る。その微かに灯る情熱こそが、少女の迸る思いを確と受け止めた証し。大切な時間が刻まれた証しでもある。
巣立ちの時を迎えた少女らが、いつ如何なる時でも振り返り回顧する安らぎの場所が、このさくら学院なのである。
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