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2016/05/23

痛ましい事件の教訓

とても悪いニュースだが、例の女性アイドル殺人未遂事件を取り上げずにはいられない。
いわゆる、ファンがアイドルに傷害を負わせる事件といえば、以前のAKB48握手会における凶行が思い浮かぶが…今回の件は、ストーカーと化したファンが思い余った末の犯行であり、性質が全く異なるものだ。
いわばフリーの地下アイドルであった被害者は、一般人と何ら変わらず単身でライブハウスに出入りし、そこに入り待ちしていた加害者の標的となった。通常であれば、マネージャーやスタッフと同行した上で、関係者出入り口などを使うはずである。非常に無防備であり、狙いやすかったといえる。
動機は、SNS上でのやり取りにおけるトラブルか。警察への相談もあったほどなので、よほど酷い行為があったのか。いずれにしても、この加害者がファンという立場を忘れ、暴走したことが原因であるのは間違いないだろう。

これを受けて、握手会等のチェックの強化、もしくは中止になる事態が早くも起きているようだ。しかしこの事件は、握手などの接触系イベントとは直接関係のない、悪質なストーカー事案だということを忘れてはならない。
僕は、かねてより、握手会など一定のファンとの距離感を重視する催しには肯定的である。推しであるさくら学院が、頑なに接触を拒絶することに対しても、常に疑問を呈してきた。
(参照:柔軟な演出と握手会の必要性
ただ、SNS上でアイドルとファンが個人的な交流を持つことには、いささか否定的である。ブログ等でも個別にレスするのではなく、全体を通しての返答を記事中ですれば十分だといえる。
あくまでも距離感のバランスが大切なのであり、全く握手会もしない、または密接に交流をし過ぎる、これら双方共に良いとはいえないのだ。今回の事件は、地下アイドル故に、ファンとの交流を深めようとする真摯な思いが、かえって悲劇を招いたと考えることも出来る。

今回の件を経て、各種イベントのセキュリティが強化されることはあっても、握手会などが廃れることがあってはならないと思っている。
70年代のアイドル創成期以来、受け継がれたアイドル文化として、握手会はあるのだ。販売促進の意味合いがあるとしても、ファンにとって貴重な触れ合いの場でもあり、アイドルを語る上で決して外せない大きなファクターであることは変わることはない。
それと同時に、今回のような事件を起こしたのは異常気質の犯罪者であって、アイドルファンとは呼べないことも付け加えておきたい。
アイドルを純粋に応援するファンの大半は、きちんとした良識があり、アイドルが手の届かない存在だと認識している。そして、その成長を見守り、ささやかな非日常の喜びを共有する。現実感のない夢に漂い遊ぶことで、十二分に満足出来るのだ。

アイドルとしての振る舞い、それらを形作る定義が何ら変わることなく、万が一に備えての万全の保安体制を確立させていく心配りを、サポートする側が常に有すること。それが今、最も求められている。
ひとつの事件で萎縮するのではなく、アイドル、ファン、スタッフ三者三様に、初心に帰るきっかけとするべきであろう。

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コメント

こんにちは。

まさにその通りですね。

ただ最近思うんですけど、メジャーなところでもファンとの距離感が微妙になってきてますね。。。

いろんなメディアがあって、いろんなファンとの交流が有って、もう距離感がグチャグチャになってる感じがします。

メジャーは地下を意識して距離感を近づけるし、地下はメジャーよりも距離感を少なくする為にいろいろするし・・・どこかで歯止めや線引きが必要でしょうね。。。

でも、握手会等は必要だと思います。

いい思い出も悪い思いでも有るし・・・やっぱり握手会は特別ですよね。

投稿: 館の主 | 2016/05/25 10:33

距離感て基本的なことですけど、昨今は本当におかしくなってますよね。
昔は圧倒的にアイドルがリスペクトされていたし、恋人気分になってしまったり、下手すれば交際してしまうなんて有り得ませんでした。
指原さん然り、℃-uteの萩原さん然り、極めて悪い例が挙げられていますし、アイドル本人らの自覚の無さも相当に酷いです。

AKBのように、握手のやり過ぎでファンが勘違いを起こすことも少なくなく、バランス崩壊が顕著です。複数購入特典などの商業主義に走り過ぎる弊害が、間接的に事態の悪化を招いている感じもします。

アイドルとファンとの、程良い距離感。これは従来から当たり前にあった認識ですので、今一度、原点に立ち返るべきでしょうね。

投稿: santa | 2016/05/25 23:17

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