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2015/08/12

ももち論 永遠の炎

嗣永桃子

僕の中で、長きに渡り生き続けた紅蓮の炎。それはもう燻ぶるでもなく、跡形もなく消えたはずだった。
過渡期を迎えたアイドルの歴史において、あの狂おしいまでの出逢いは、まるで異次元の領域から精神を支配するかのように、しかとこの胸に刻んだものがある。
頑ななまでに拘り続けた、正統派の道。そう、それは紛れもなくアイドルの王道と呼ぶべき、唯一無二の原則論。記憶をどんなに辿ってみたとしても、体現していた存在を他に思いつかない。
嗣永桃子という存在が、僕の生半可なアイドル論を叩き壊した。全てにおいて妥協を許さない、徹底し尽くしたアイドル像の完成型。その確固たるイメージを、心根の深層に宿していた真実を、今更ながらに想起させられたのだ。

なぜ、今「ももち論」を取り上げるのか。様々なタイプのアイドルが試行錯誤しながらも伸び悩み、当たり前に消えていく現実がある。
ももちの真髄。それは、アイドルを貫き通すために最も必要な、魂の脈動。いわば原理原則に則った、頑ななまでにブレない確固たるイメージがあり、決してそこから外れることがないのだ。
昨今のアイドルは、とりあえず最初に打ち出したイメージに沿って活動していくが、それがうまくいかない、またはワンパターンに感じると、すぐに違った方向へと舵を切りたがる。自らのイメージすら定着していない内に、新しい要素を取り入れては迷走を繰り返し、遂には何処へ向かっているかも分からなくなってしまう。
そうした無用な変化は、意外性などというポジティブな印象ではなく、それまでのファンが持っているイメージを次々と裏切る結果となり、大幅な人気低迷を招くのだ。

無論、統一されたイメージを守り、信念を貫くには、確かな実力と多大なる資質を持ち合わせていなければならない。
十年以上をハロプロという実力派集団で磨き上げ、何よりも並々ならぬ資質と、アイドル性に長けたももちに、一分の死角もなかった。
Berryz工房でデビュー以来、一貫したプリティアイドルのイメージを、ももちは完璧に作り上げた。大人になってもフリフリの桃色衣装で露出するももちを見て、世間は痛いというが、それが十年変わらない絶対的なイメージなのだ。
ももちが、一度でも髪を染めたことがあるか? 否、それはももちの思う清純派ではないからだ。
ももちのブリッ子キャラが崩れたことがあるか? 否、それは松田聖子から続く、王道アイドルの変わらぬイメージだからだ。
ももちが弱音を吐き、無様な姿を曝したことがあるか? 否、それはファンに夢を与え、元気付けることを至上命題に掲げた、アイドルの存在意義を揺るがすことになるからだ。

ももちは、Berryz工房において、異端とされた一人であった。個性派揃いとされたベリにおける、ももちの存在感は次第に増していったのである。そう、あたかも巨大化した怪物が、自らの拘束を引き千切るかのように。
新ユニットカントリー・ガールズは、ももちがこれまで守り通した、絶対無比な王道のイメージを踏襲するものであった。ももちは長い年月を経て、完全なる自己表現の場を得たのだ。そしてそれは、着実に次世代のメンバーへと引き継がれることになる。

今、ももちが再び猛々しい咆哮を上げ、歪み切ったこの世界に渇を入れるのだろうか。アイドルの王道、正統派のあるべき道すじは、ただひたすらに清純さを追求したイメージの構築、その固定化にあると。楽曲から衣装、髪型に至るまで一切の妥協を許さない、徹底した自己演出にあると。
呆けたアイドル観に身を委ねる愚か者どもに、鉄槌を喰らわせてくれる期待感に心躍ってしまうのだ。
カントリー・ガールズ

何者も寄せ付けない王道への渇望と、その確かな信念。もはや怨念とも呼ぶべき怪物の咆哮は、この愚かで矮小な自我をも呑み込み、果てしなく心を震わせるに違いない。明日なき煉獄の底にありて。

ももち」という名の畏怖すべきアイドルモンスター。我が深淵で密やかに息を潜める、あの大いなる眠れる魂よ。
身を焦がすように仄熱く、肌を切り刻まれるかの痛み。記憶の闇夜から染み出すように、まざまざと甦る。底知れぬ孤独で凍えたこの魂は、今、そして未来永劫、蒼白く燻ぶる永遠の炎で焼かれ続けるだろう。


参照リンク
ももち論最終章 大いなる眠れる魂

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