虚飾で固められた世界
巷では、佐村河内やら小保方やら、とんだ嘘つきが蔓延っているようである。18年間も世間を欺き続けボロ儲けしたり、他人の論文を勝手にコピペしておいて平然とヒロイン気取ったりと、やりたい放題だ。
驚くことに、こうした連中を罰する法律は、今の日本にはないらしい。どんなに嘘を吐いても、儲けた者勝ちか。個人の虚栄心で、国家の信用性を揺るがしても、お咎めなしと。
不当に得た資産全てを没収するとか、学会から永久追放するとか、当たり前だろう。詐欺等で収監しても良いくらいだ。
僕は少なからず怠け者かも知れないが、結構まっとうに、正直に生きてきたつもりだ。しかし、実際には落ちぶれて、社会の底辺を無様に這いずりまわっている。
要領よく立ち回って、平気で嘘を吐き、悪知恵を働かせた方が得をする仕組みなのだろうか。実に、ふざけた話である。
しかし、世の中には嘘が許される領域がある。ある意味、アイドルの世界とは虚飾の世界である。それは、現実にあって夢見心地にさせる健全なる麻薬のようなもの。真実は、むしろ覆い隠す事柄であるべきなのだ。
先日、NMB48の人気メンバーである渡辺美優紀のお泊りがスクープされた。やれやれ、またか…と、呆れてしまうほどに、AKBはスキャンダルにまみれている。
いつも強気な持論を飛ばしている小林よしのり氏も、落胆している様子。氏の主張には反感を感ずる事も多々あるが、アイドルのスキャンダルに関しての考え方には、同調する面が多い。
先に述べた通り、アイドルとは虚飾された存在である。上辺を取り繕って、一時の夢を見せてくれれば、それで良いのだ。
ただ、その偽装工作は完璧でなければならない。ほんの一瞬でも、生々しい性の部分を覗かせれば、たちまちの内に夢は消し飛んでしまうからだ。
モーニング娘。'14の道重さゆみなどは、そうした認識がしっかりしている代表的な存在だろう。24歳にして、男の影を全く感じさせず、いかにもアイドルらしいピュアな雰囲気を持ち続けている。
無論、この歳で処女なわけもないだろうし、密かに付き合っている相手も居るのかも知れない。しかし、だとしても完全にファンを欺いている。これが重要なところなのだ。
彼女はもし、自らの嘘が公になれば、直ちにアイドルを辞める覚悟があるに違いない。AKBの指原や峯岸のように、泣き落とししてまでも、ズルズルと続けようとは一切考えないはずだ。
僕がスキャンダルに敏感に反応するのは、20年来見続けてきたアイドルというものに、揺るがない原則を確かに感じていたからだ。
決してファンの夢を裏切らない、醜い現実とは遠くかけ離れた存在。厳しい現実に疲れ果てた先に行き着く、唯一の心の拠り所でもある。
例え虚飾であろうとも、その世界が堅持されるのが大原則。言うまでもなく、10年後に恋人が居たのをカミングアウトするのは、一向に構わない。その時の夢を壊さないことが、アイドルにとって何より重要なのだ。
誰しもが、幼い時分に「嘘つきは良くない」と教えられる。ただ、一方で「嘘も方便」などとも教えられる。矛盾しているようだが、それらは両者とも正しい。決して許されないものと、そうでないものがある。
薄汚い嘘を吹聴し暴利を貪る者、私欲に打ち勝てず人の信頼を裏切る者。これらの所業を許すことは出来ないし、この腹立たしさを抑えるつもりもない。それを許容してしまえば、人間としての感情をも喪失した、ただの抜け殻になってしまうだろう。
馬鹿正直に生き、どんなにもがき苦しんでも、一瞬の夢に縋り耐え忍んでいく。そんな人生を歩んでいけたら、僕にとって果たして本望なのだろうか。
| 固定リンク
コメント