« 天才子役の違和感 | トップページ | 胸焦がれるアイドルへの道 »

2011/05/27

失われた心の余裕

失業者にとって、人生の意義を見い出せないのは必然である。取るに足りない下らない日常を、ただ惰性で過ごすのみ。
単純に仕事を失うというよりも、生き甲斐そのものを失くしてしまった感覚に日々悩まされる。

先日、献血50回を達成した。なにやら妙な杯を頂戴したが、これで祝杯でも挙げろというのか。意味が分からない。
以前にも述べたが、人助けのつもりで献血したことなど、ただの一度もない。時間を持て余しがちな無職の身では、無料ドリンクとハーゲンダッツが付いた暇潰しは、極めて魅力的に思える。たった、それだけのことだ。

震災の影響か、一般人のボランティア参加が、まるで流行のような風潮が蔓延した。別にその事自体、否定するつもりはないが、どうにも胡散臭い感情に捉われたのも事実。
無償の人助けというのは、あくまで自己満足で結しない限り、それは偽善になりかねない。僅かでも、見返りを求めてはならない。ただ、自己満足というのは、継続させるのは甚だ難しい。今回の場合、電車でお年寄りに席を譲るのとは訳が違う。それこそ長い年月をかけ、地道に復興を目指さなければならない。一時的な助けでは、ほとんど意味を成さないのだ。
ボランティアに全く関心のない僕は、一時の自己満足だけで人助けしようとは思わない。一円にもならないのに、瓦礫の撤去など出来はしない。申し訳ないが、義援金は一銭も払っていない。自分の事だけで精一杯なのである。

僕は、冷たい人間なのだろうか。追い詰められ、人生が行き詰まった人間の性根が歪むのは、至極当然と思われる。
全ての人が平等に、必要最低限の生活が保障されたなら、もっと他人を気遣うだけの心の余裕が生まれるのではないか。
先に、実刑が確定した堀江貴文被告。金の亡者に見えた同氏を、当初から僕は好きでなかった。ただ、収監前に彼が提示していた日本の改革論、つまりベーシックインカムの導入については、共感を禁じ得なかった。
ベーシックインカムとは、国家が例外なく一律の現金を国民に配り、その生活を保障するというもの。
これにより、労働者に仕事を与えるためだけの、無駄な公共事業を一掃出来る。年金や生活保護の不平等感の是正、またそれらの行政サービス自体要らなくなることで、税金を吸い上げる役人の大幅削減にも繋がる。
年齢に関係なく全ての国民に同じ額が支給されるため、少子化対策にもなる。誰も働かなくなるという反論がありそうだが、余裕が出来れば人のために何かしようとするもの。日常的なボランティアが、大きく増加するのは間違いない。
むしろ、やりたくもない仕事を喰うためだけに働く現在の状況よりも、ずっと円滑に社会が動いていくだろう。
もちろん今まで通り働きたい人は、働けばいい。貧富の差がどんなに開こうとも、生命が脅かされなければ何も問題はない。
心の余裕というものが、きっと社会を大きく変える原動力になるはずだ。

震災の死者・行方不明者、三万人に上るといわれている。しかし、この国では年間三万人の、いやおそらくはその数倍の自殺者を出している。明らかに異常である。この国は病んでいる。
自ら進んで散った命でも、災害で散った命でも、その重さに何ら変わりはないはず。誰も、好き好んで死んだ者はいない。
全ての人々が平等に守られ、生き甲斐を持って生きていける社会こそ、理想的な国家の姿に通じていると信じたいんだ。

|

« 天才子役の違和感 | トップページ | 胸焦がれるアイドルへの道 »

コメント

こんにちは☆彡

全くの同意権です!!

完璧に病んでます。この国は。

震災の時にみんなが被災地を心配し、みんなで協力しよう!!とか表じゃ言っておいて、その裏で買占め起きてたし、人への思いやりとか言っておいて、バンバン流れるACのCMに無慈悲にクレームを付ける人々。
ボランティアとか本当に偽善だと思います。
別にあの人達が自己満足でやりたいし、その余力があるのも別に文句言うつもりはありませんが、世の風潮として、ボランティアや義援金を半強制してるのは本当に憤りますね。 

上手くは書けませんが・・・何かこの国ってアンバランスなんですよね、太平洋戦争の時もそうだったし、高度成長の時もそうだったけど、みんなで一気に同じ方向に走っていく国民性っていうか・・・

僕はこの世の中、平等なんて無いと思います。
ただ、命くらいは平等にして欲しいなぁと思います。
だって、じゃ無かったら「国」の意味なんて無い気がする。

自分を必要としてる場所は必ずあると思います。
あまり心の余裕を持てないかもしれませんが、自分を信じて進んでいきましょう☆彡

投稿: 館の主 | 2011/05/28 00:48

まあ、ボランティアそのものは結構なのですが…この時とばかり張り切っている人を見てると、ああ充実してるんだな、余裕があるんだな、という感じがして少々疎ましい気持ちが。。
確かに被災者は気の毒ですが、生活苦で自殺に追い込まれるような人達は見殺しなんでしょうか。
就職出来ないのは自己責任とよく言われますが、それは死ねと言ってるのと同じですしね。

>この国ってアンバランス
日本は集団意識が強すぎましたね。
働くことが美徳とされ、誰もかれもが一生を仕事に捧げ死んでゆく。個性を尊重といっても、好きな事をして生きていくことが出来ない限り、絵に描いた餅です。
前時代的な「働かざる者食うべからず」という固定観念から脱すれば、誰もが幸せに楽な気持ちで生きていける気がするんですがねぇ。。

投稿: santa | 2011/05/28 21:58

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 失われた心の余裕:

« 天才子役の違和感 | トップページ | 胸焦がれるアイドルへの道 »