楽園に焦がれた異界の住人
堆く積まれた障壁が、四方から取り囲んでゆく。途端に息苦しく、何も見えやしない。そう、ここは完全に密閉されている。
どうして、こんなに燃えるように熱いんだ。照りつける猛暑の陽射しなんかじゃない。あの素朴すぎる少女らの熱気で、心が焼き尽くされそうなんだ。
この異界の底にあって、剥き出しにされた浅ましい魂は、己が欲求を誇示するがごとく、けたたましい咆哮を上げた。
なぜなら、辿り着いた異世界の深淵が、追い求めた彼の地であったから。
coco's(コニーズ)が創り出す、異界であったのだから。
凄まじい暑さに、意識が朦朧としてくる。コンクリートで埋め尽くされた東京は、とてつもない体感温度を叩き出している。
拝啓、コニーズ様。徳島は、やはり暑いですか。暑中お見舞い申し上げます。そう、あの素朴ザ・エンターテイナー、コニーズの東京遠足ライブに訪れたのである。
さて、両国とやら、とにかく初めてだ。国技館を通り過ぎ、児童公園の隣りにある小ぢんまりとしたライブハウスが、どうやら
両国FOURVALLEYらしい。
かなり遅めにチケット申し込みしたにも拘らず、12番という整理番号順で、二列目右端という良席を見事に確保する。
小規模会場ということもあり、ステージと近く期待が高まる。
ただ、なぜかすぐ脇を幼女の集団が陣取り、気が気でない状態に。VIBES with SAKIという、新参ユニットの応援団らしい。
さあ、待ち望んだコニーズ劇場、初っ端からの開演である。
今回も、くるみっき~とのジョイント、ホットこいさんずでの東京遠征であった。
コニーズ、お約束通り、ウルトラマンのテーマが小気味良い。
良くも悪くも、変わらない素朴な美少女ぶりが、素晴らしい。
ある意味、ナイスな?マイクトラブルもあったが、くるみっき~も合流し、例によってラジオ体操をブチかます。
ここで、本来は遠くから静観するクールスタイルであるはずの僕が、高まり過ぎてラジオ体操完全制覇! こ、こんなの、どう考えても自分のキャラじゃない…。
勢い余って、大好きなゆいぴょんにハンコ貰おうと手の甲差し出せば、くるみんがすかさずペタッと捺してくれた。
ナイスアシストだよ、くるみん。。
さらに、スマイルポイントと称して「笑点」のテーマを演奏したり、相変わらずグダグダ感たっぷりのMCが、異界におけるコニーズの真骨頂! 個人的には、メンバー全員をバレー部所属に仕立て上げるゆいぴょんが、俄然強めで気に入った。
そして締めはといえば当然、きはちゃん渾身の歌声でムード歌謡を熱唱することに。とてつもない異様な空気感が漂う。
正直、60年代の島倉千代子とか、渋すぎる選択だ。
最後に、客席に向けてカラーボール投げ入れで終演なり。
終始、トロ臭い僕は、あまりに勢いある球筋に、宇野ばりの醜態を晒しそうで、なぜか必死に回避してしまった。実に、もったいない。。
この後、Negicco、ココロコロンといったお馴染みユニットが続き、僕の異界への旅路は終わりを遂げたのであった。
公演終了後の物販撮影タイム。とりあえず奥で待つ僕に、なぜかNegiccoのMeguちゃんが来て微笑みかける。どうやら、ファンと間違われたようだ。
思いのほかの客足だったのか、混雑が酷くて、のんびり撮影やトークする余裕はなかった。せめて買い物をと、ゆいちゃんに下敷き下さいと声かけると、すかさずくるみんが積極対応してくれた。どこまでもナイスだよ、くるみん。。
この日は珍しく出待ちしてみたが…これが正解であった。4人で何となく佇む絶好の機会に、どうにか撮影させてもらうことが出来た。なかなか会えないだけに、ひと安心である。
ひと時の楽園を脳裏に焼き付けて、少女らの後姿を見送った
暑い夏の日であった。
アイドルとしての新境地を切り拓く、コニーズの圧倒的なエネルギー。アイドルとは真逆の、いや、脱線したままひたすらに走り続けることで、想像を絶するほど怪しげな雰囲気に満たされた、この異界の光景を創出したのだ。
僕は、異界にあって、ただ恍惚としていた。そこに、この魂を押し上げたのは紛れもなく、素朴な少女の魅力と、予測のつかない奇抜な発想の、絶妙なるフュージョンに他ならない。
心を絡め取るかにこの胸を熱く焦がしたのは、異界から姿を変えた、楽園の誘惑だったのだ。
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