注目すべきAKB48の志し
アイドルの歴史を顧みるに、モーニング娘。やAKB48は決して外せないだろう。いわゆる全盛期と呼ばれる頃の両者については、当時あまり興味がなく、モーニング娘。の再ブレイク時から本格的にハロプロに傾倒してきた経緯がある。
AKB48に関しては、これまで幾度も言及したように非常に素行が悪く、男性スキャンダルを連発していたのを契機に距離を置くようになった。
その点が大きな一因であるのは確かだが、それと共にパフォーマンスレベルの低さを痛感し、よりレベルの高いハロプロに引き寄せられたというのもある。いわば、「お遊戯」と揶揄される生温さ、見応えのなさを、ひしひしと感じていた。
主役の座を坂道に奪われて久しいが、今年の海外フェスで見かけて以来、思いがけず気になる存在となっていた。
王道を往くパフォーマンスが妙に懐かしかったのだが、それだけでなく、ダンスフォーメーションの大幅な進化が見られ、曲によっては非常にレベルの高いものにまで果敢に挑んでいる。昔の姿とは大きなギャップを感じ、感銘を受けたのだ。
すっかり世間から忘れられ、凋落の一途を辿るAKB48。チーム制度の見直しによるスリム化や、相次ぐメンバー離脱。このほど長らく在籍した柏木由紀も卒業を発表した。全盛期の痕跡が完全に消えるわけだが、今のAKBは昔とは違う魅力を得ているように思う。
最新曲の「アイドルなんかじゃなかったら」を吟味してみると、よく考えられたフォーメーションとメンバーのシンクロ度合いが素晴らしく、ダンスの練度が確実に上がっているのを感じる。それと、これは全てのライブか分からないが、TIF他において生歌で歌っているように聞こえる。口パクが当たり前だった印象が強いだけに、かなりの驚きがあったのは事実だ。
全体として見ると、無論、高レベルのハロプロに比べれば格段に落ちる。いわばヌルい曲も多いし、ボイスレッスン不足のせいか声も十分に出てはいない。しかしながら、これだけ物怖じせずにチャレンジし続ける姿勢には、素直にエールを送りたい気持ちにさせられるのだ。
メンバー個々の点で付け加えるならば、以前にも記した通り、山内瑞葵に惹かれてしまう。アイドルに対する情熱が強いようで、ファンとの交流も盛ん。SNSでファンに励まされ、涙する姿に胸打たれたのは確か。
ダンスが上手く、スリムで手足が長いせいもあり、ダンスのキレが冴え渡る印象あり。素朴な雰囲気ながらのアイドルらしさを、遺憾なく発揮しているところが大いに好ましい。AKB48における、推しメンに認定しておきたい。
全盛期当時、AKB48は何もしなくても売れた時代であり、いくらでもオファーが舞い込む勝ち馬状態であった。いつしか凋落の時を迎え、取って代わった乃木坂46は、AKB時代を彷彿とさせる隆盛を誇っている。
乃木坂はかつてのAKB同様、お遊戯を披露しても絶賛される現状。一方のAKBは、再び這い上がろうと必死に自身を鍛え上げ、レベルを上げようとしている。僕は、この苦しみもがきながらも懸命な姿に、ふと心奪われてしまうところがある。
余計なスキャンダルなぞに浮つくことなく、一途に真っ直ぐな志しをもって進んでいく姿勢こそ、アイドルの真骨頂。少なからずの懸念は伴いつつも、今のAKB48を秘かに応援し、温かい目線で見守りたいと真に願わずにはいられない。
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